ひとつへの憧れ、割り切ればふたつ。

カバンひとつで生きていきたい。

ずっと考えていた。そんな生き方に憧れていた。

 

***

 

学生時代、ミニマリズムに出会いました。

過剰な物に溢れた家で育った自分にとって

衝撃的な価値観でした。

 

当時憧れていた―そしていま友人である―伊藤光太さんは

バックパックひとつで旅をしながら暮らしていました。

そんな生き方に憧れていました。

 

少ない物で生きていくというのはすなわち、

割り切ることを覚えていく必要があります。

 

私の場合、音楽をやるので楽器があります。

フルートと、楽譜、譜面台。どれも嵩張るものばかり。

カバンひとつで生きていくなんて、楽器のことを

考えたら100%無理なわけです。

 

思い返せば、カバンひとつで生きていくことへの憧れを

ずっと楽器が邪魔していたような気がします。

そのジレンマがあったせいで、そしてなんとしても

「カバンひとつ」というところに拘ってしまっていたから

ずっと苦しい思いをしてきました。勝手に。

 

最近割り切ることを覚えました。

別に楽器は別でいいんです。

別のカバンに収まってさえいれば。

 

私は、グレゴリーのデイアンドハーフに

「生きていくためのもの」を詰め込みました。

コートエシエルのナイルに

「音楽」を詰め込みました。

 

この精一杯の割り切りが自分を救いました。

このふたつのカバンが、人生の軸になります。

 

カバンひとつ、やっぱふたつ。

おもしろくなってきた。


f:id:keislog:20241122234540j:image