カバンひとつで生きていきたい。
ずっと考えていた。そんな生き方に憧れていた。
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学生時代、ミニマリズムに出会いました。
過剰な物に溢れた家で育った自分にとって
衝撃的な価値観でした。
当時憧れていた―そしていま友人である―伊藤光太さんは
バックパックひとつで旅をしながら暮らしていました。
そんな生き方に憧れていました。
少ない物で生きていくというのはすなわち、
割り切ることを覚えていく必要があります。
私の場合、音楽をやるので楽器があります。
フルートと、楽譜、譜面台。どれも嵩張るものばかり。
カバンひとつで生きていくなんて、楽器のことを
考えたら100%無理なわけです。
思い返せば、カバンひとつで生きていくことへの憧れを
ずっと楽器が邪魔していたような気がします。
そのジレンマがあったせいで、そしてなんとしても
「カバンひとつ」というところに拘ってしまっていたから
ずっと苦しい思いをしてきました。勝手に。
最近割り切ることを覚えました。
別に楽器は別でいいんです。
別のカバンに収まってさえいれば。
私は、グレゴリーのデイアンドハーフに
「生きていくためのもの」を詰め込みました。
コートエシエルのナイルに
「音楽」を詰め込みました。
この精一杯の割り切りが自分を救いました。
このふたつのカバンが、人生の軸になります。
カバンひとつ、やっぱふたつ。
おもしろくなってきた。